所長挨拶
東京ほくと医療生活協同組合 生協王子歯科 所長 望月裕美 |
〜歯の健康寿命を保つために〜
通勤駅のエレベーターで男児を前抱きした母親に「子供は3歳までが天使!一生分の親孝行を3歳までにしてくれるのよねえ〜」と優しく語りかけて「その後は単なるドラ息子で親を困らせるだけなんだから!」と低い声で呟いて立ち去った女性がいらして、10月に担当させていただいた各保育園での乳幼児歯科検診を思い出しました。0歳クラスで月齢の若いお子さんでも秋には小さな乳前歯が生えてきて、小学校就学前の5歳クラスでは早ければ上下左右の第一大臼歯や中切歯が生えてきてきます。
学年があがるにつれ、ハイハイで室内を動き回る赤ちゃんから、待ち時間に室内で元気に走り回って運動会をしているお子さんたち、検診を嫌がるお子さんの手を引いて私まで連れてきてくださる社会性が出てきたお子さんたち、きちんと整列して前のお友達がどんな処置を受けているか観察している来年ぴかぴかの小学生になるお子さんたち。短時間ながら、0歳から6歳までの一連の成長過程を垣間見ることもでき、心が和みました。
乳歯や生えたての永久歯は酸で溶けやすく、むし歯の菌(ミュータンス菌)が作る酸によりむし歯ができやすい上、歯の凹凸がしっかりしており歯のくぼみにむし歯につながる汚れがたまりやすい特徴があり、歯磨きは歯の噛合わせる面をはじめ歯茎から上を中心に歯磨きをします。
一方で、歯周病を気にし始める成人では歯磨きは歯と歯茎の境目を気にするブラッシングへと、方法が変わってきます。歯周病では骨と歯茎が減り、歯の根の部分(根面)が露出する上、加齢により唾液量は減るので、露出した根の部分に汚れがたまると根にむし歯ができやすいのです。若年者はむし歯の痛みを感じやすい一方で、中高年の根のむし歯はゆっくり進行し強い痛みを感じないうちに根面の欠損が大きくなり、いつの間にか歯の頭が折れてしまうこともよくあります。
本年6月の保険診療報酬改定では、この根面のむし歯に対してフッ素を塗布したり汚れを専門的に取ったりして1か月ごとに経過を診ることが保険診療として認められました。歯の頭が取れると根は残りますが、咬めなくなってしまうので、これを予防するために、根面むし歯の定期的管理を国が保険診療と認めたことは意義があると考えます。
10月19日に民医連歯科が全国的な呼びかけとして、「保険でよりよい歯科治療を」の署名活動キックオフ集会を行いました。口腔機能低下、向上のための適切な歯科治療を保険診療として、誰しもが妥当な医療費で標準的に歯科治療が受けられるよう、今後も署名活動を続けてまいります。活動の意義を御理解いただき、今後も協力いただけますと幸いです。
当院では予約が取りにくい状況が続き、申し訳ありません。
痛みなどの急なお困りごとに対しては、場合により予約外受診となりお待たせしてしまいますが、極力早めに診察、対処させていただいております。まずはご相談いただけましたら幸いです。
今月もどうかよろしくお願いいたします。
無差別・平等の医療を推進していくために
私たち診療所は、医療生活協同組合の形をとって、組合員の皆様からお預かりしている出資金で運営されている診療所であるとともに、全国の医療組織で組織されている民主医療機関連合会(民医連)に属し、民医連綱領に基づいた無差別・平等の運営、医療を行っております。
去る、9月21日〜22日に全日本民医連歯科部主催の拡大歯科所長事務長会議が開かれ、当診療所事務長ならびに私とで参加いたしました。
会議では、歯科保健医療における現状を踏まえた今後の課題を明らかにし、医科・歯科・介護での連携の必要性を再確認しました。
また、民医連歯科が掲げる無差別・平等の医療を推進する上では、よりよい歯科医療を医療保険で受けられるよう、保険で負担できる歯科医療内容を充実させていくこと、また各医療内容に対する診療報酬の引き上げをしていくこと、が必要であり、現在行っている「保険でより良い歯科医療を」の署名運動を引き続き継続、拡大させていくことを再確認いたしました。
また、民医連歯科の綱領に賛同して医療を担える後継者の育成が重要であること、またそのうえで現在大きな問題となっている歯科技工士不足の問題などについても、全国から歯科医師、事務職員、歯科衛生士および歯科技工士が集まり、2日間にわたり協議しました。
グループ内で、各診療所の実態や問題点をお互い話し合い、協議していく中で、医療生活協同組合の組合員の皆様の班会に私たち職員が出向いて、口腔機能維持向上に向けて役立つ内容について講習をさせていただいたり、「保険でより良い歯科医療を」の署名運動を組合員の方々にご協力いただいたり、という組合員の皆様からの尽力をグループ内で述べさせていただきました。これに対しては、他の組織運営形態をとる診療所から驚き、賛同の声をいただきました。
また、国の保険制度改定で、医科・介護などの高齢者医療にかかわる医療従事者が口腔内の問題を発見してもそれを歯科に伝え治療に結び付ける具体的道筋がなかったことが明らかとなり、2024年6月の保険診療改定では、医科歯科介護や看護との連携について、保険診療報酬が算定されるようになりました。当診療所では、訪問歯科診療を行い、居宅療養中の患者さんの口腔機能改善、維持向上を行っております。
私たちの職員数は、他診療所に比較して決して多い人数ではなく、患者さんには予約が取りづらい状況でお困りごともあるかと思います。
しかし、お痛みなどの急なお困りごとに対しては、できる限り対応させていただけるよう、予約外受診についてはお待たせしてしまうが、極力早くに診察、対処させていただいております。まずはご相談いただけましたら幸いです。
今月もどうかよろしくお願いいたします。
敬老の日
北区は、東京都に先駆けて、認知症支援の政策整備に着手した区だそうです。
去る8月26日に北区豊島高齢者あんしんセンターの職員の方を世話人とする、認知症ケア向上多職種協働研修が5年ぶりに、北とぴあで行われました。
講習会では、認知症の基本知識について、医学的講演の他、診断後の支援について学術的講演があり、グループに分かれての、具体的事例について北区福祉部長寿支援課が発行する「北区認知症あんしんなび」のパンフレットをもとにした支援方法の話し合いが行われました。
オレンジほっとクリニックの平原佐斗司先生のご講演では、認知症は「一度正常に発達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態」との定義説明から始まり、どのような障害があるか、認知症の分類についての説明、また、認知症進行予防においては糖尿病や高血圧症などの慢性疾患の悪化の予防や、運動を取り入れたリハビリによる予防、が有効といった説明、また、家族を含め認知症というものについて繰り返し説明して理解いただくことが大切とのお話もいただきました。講義は、私の漠然とした知識をまとめることができ、大変貴重なものでした。
グループ討議を通じては、各家庭で認知症患者を抱え込まず行政支援に結び付けるために整備されている区政事業について、私が初めて知るすぐれた支援事業も数多くありました。特に「認知症初期集中支援チーム」という支援体制では、私たち医療介護の専門職がご家庭での認知症患者さんに対する困りごとを救い上げるきっかけとして動ける支援と知ることができました。
また、これまでの訪問診療や外来診療では、各事業所のご担当職員の方々のお名前は存じ上げていましたが、この研修では直接この職員の皆様にお目にかかり、挨拶もさせていただくことができ、認知症の患者さんと支える御家族を多職種で協働して支援できる体制を実感できました。
9月には敬老の日があります。超高齢化が急速に進行する中で、一度正常な脳の発達を遂げ社会を支えられてきた成人が年を取っていかれることで高齢者ならではの疾患が多くなっています。私たちはこの疾患についての最新の知見、支援の在り方などを常に研修し続け、日々の臨床に結び付けてまいります。
今月もよろしくお願いいたします。
8月は終戦の月です。
私の自宅の隣家が最近取り壊され、空き地となっており、その一角に、家屋の庭から延びていた鉄の階段があります。その階段は、2mほど大きく掘られた窪地の底に通じています。窪地は・・・防空壕の跡・・・。小学生の頃、夏の時期には必ず戦争体験についての授業があり、空襲警報が聞こえると家は消灯して防空壕に潜んだ、と何度聞いたか知れないほどですが、この年になって、初めて防空壕というものを見ました。
「防空壕でいつも私が座る予定だった席は、その日はおばさんが交代してくれた。交代してほどなく、そのおばさんに焼夷弾が直撃した。その経験はその後の私の人生を変えた。」と経済評論家の内橋克人さんが述べておられたのを見聞したことがあります。内橋さんが最期に書かれた自伝小説にはご自分を語った主人公が神戸で経験した大空襲で経験した大変つらい出来事が、描かれています。
「幼少の頃、シベリア抑留時にロシア兵たちが家に押し寄せ、自分たち子供の目の前で自分の母親を淫らに犯した、その経験は口にすらできないほどおぞましいもので長年黙っていた。やっと今ここに書けるようになった。」と作家の五木寛之さんは手記に書いておられました。五木さんは、青春の門という小説を大学時代に発表し一世を風靡しましたが、その後50歳を前に3年ほど執筆を休んで仏教学を学び、
戦争という大変つらい経験をなさった方々が、それを踏まえて活躍され、戦後の日本の礎を築いてこられました。8月は太平洋戦争の終戦の月です。戦後に育った私たちは、そうした方々のご経験を絶対忘れてはならないといつも思います。
酷暑は続きます。
当診療科は現在も予約は取りにくい状況が続いておりますが、症状をまずお伺いし迅速なご対応が極力できるよう、検討させていただいておりますので、気になることなどがあればいつでもご相談いただけますようお願いいたします。
今月もどうかよろしくお願い申し上げます。
親知らずの抜歯について
口腔外科処置を担っている私が専門的に担当させていただく処置に、親知らずの抜歯があります。抜歯についてのお問い合わせや一般歯科医院からの抜歯依頼も多くなっている今、当院職員数名の骨内に埋まっている親知らずを、私が抜歯させていただきましたので、少しお話させていただくことにしました。
親知らずという名称は、平均寿命が55歳頃だった江戸時代に、親が亡くなる55歳頃ちょうど20歳頃を迎える子供たちに萌出してくる第三大臼歯で、萌出してくる頃に親が亡くなっていることが多かったことから「親を知らない(で生えてくる)歯」すなわち「親知らず」と名づいた歯です。
第一大臼歯は小学生1年生ごろ、第二大臼歯は中学生1年生ごろ、第三大臼歯(親知らず)は20歳頃萌出する歯と言われていますが、最近は食生活の変化などで古代のような頑丈な顎への過大な発達はなくなりつつあり、第三大臼歯(親知らず)は萌出する余地がなく歯茎の中もしくは骨の中に埋められたままということが多くなったと言われています。この歯茎の中もしくは骨の中に埋められたままの親知らずは、時に大きな腫れや痛みの原因になることがあり、抜歯せざるを得ないこともよくありますが、下あごの親知らずは下歯槽神経という重要な知覚神経の走行に、上あごの親知らずは上顎洞という鼻とのみ交通している重要な空間の位置に、それぞれ十分な配慮を行って慎重に抜歯します。
下歯槽神経の損傷は、下唇からおとがい部皮膚の知覚麻痺やしびれといった神経麻痺に、また上顎洞の損傷は口から飲んだ水や食べ物が鼻にすべて入ってしまうという口と上顎洞、鼻腔との交通を生じてしまうため、場合によっては、抜歯前にCTの撮影を王子生協病院にて行い、十分な抜歯前の処置計画を立案します。
歯茎の中もしくは骨の中に埋められたままの親知らずの抜歯は、歯茎の切開や顎の骨の切削を伴いますが、親知らずは喉の近くであり誤って切ってしまえば大出血などの重篤な事故が生じる重要な神経、血管や筋がある部位ですので、神経や血管の走行に熟知し、手術操作の経験が十分にある口腔外科が得意とする処置になります。処置中、これ以上削ったり抜歯操作を継続すれば、重要な構造物の損傷リスクが高いと判断されるときは、術後の後遺症は一生残ってしまうため、後遺症と引き換えに骨内に温存した小さな親知らずの残存歯部分は温存して、それ以上の手術操作を止め閉創することがあります。こうした歯の温存の可能性も含め、処置前後には患者さんの不安が解消されるまでしっかり説明し、処置中もお声がけしながら安全に、アシスタントの歯科衛生士とともに処置を行います。
また処置後は、抜歯窩をできるだけ清潔に保つことが、痛みを軽減させ治りを早くしますので、予約外であってもできるだけ診察させていただいております。
これまでは大学病院などに親知らず抜歯のご紹介していた患者さんも、当科外来で抜歯させていただける親知らずは、当科で処置できるようになっております。予約が取りにくい状況ではありますが、病院口腔外科とは異なり土曜日や平日夜間診療の時間での抜歯も場合によっては対応可能ですので、遠慮なくご相談いただければ幸いです。
今月もどうかよろしくお願いいたします。
児童福祉について、2022年(令和4)6月に成立した改正法があります。
ある日の夕暮れ18時頃、小石川植物園のそばを通っていると、小さな小銭入れが落ちていました。
外国の街並みと思われる地図のイラスト模様が全面に鮮やかに施された、まだ開けられたばかりの新しい小銭入れのようで、表面には名前が書かれたPASMOカード(交通系ICカード)が入っていて交番に届けたところ、中に、きれいに折りたたまれた千円の新券札と百円玉4枚が入っていました。
それから3日後、勤務が終わって携帯電話の留守番電話が入っており、伝言を聞いてみると、「お財布の落とし主が見つかりました。ご家族からお礼の電話が入ると思います。よろしくお願いします。」という警察署からのものでした。
お財布落とし主のお母さまから追って電話があり、「見つかるものと思っていませんでした、あの日息子が号泣して帰宅しました。帰り道のお財布を落としたことに気が付いたとのことで、もう見つからないだろうと思いながら、警察に届け出たら、拾われていました。あのお財布はプレゼントでいただいた思い出の品物だったので、とても助かりました。子供も大喜びです。」とのお話で、仕事の疲労感も吹き飛ぶ、心温まるお電話でした。
お財布の中身にあった丁寧なお金のしまわれ方から、容易に、保護者に大切に渡されたお子様のお財布と拝察されました。
児童の権利の擁護が図られた児童福祉施策を推進するため、「児童福祉法等の一部を改正する法律」が2022年(令和4)6月 に成立し、2024(令和6年)4月に施行されました。
児童を丁寧に育成する気持ち、困った状況に置かれ不安に駆られた児童の訴えを傾聴し、支援できるような状況はとても大切なことですが、家庭内の保護者の力だけでは、この状況を作り維持するのはとても難しいことです。昨今、孤立した状況に置かれ、子育てに困難を抱える世帯がこれまで以上に顕在化する現状があり、深刻な社会問題となっています。こうした中で、この法律が成立し施行されました。
ひとつの家族では解決できない課題も、地域が大きな家族として捉えられれば、不足しているところを補い合うことができるとの東京ほくと医療生活協同組合の思いから、こども食堂が運営されるようになっています。
児童、老人は社会的弱者になりがちであり、私たち壮年期で社会を担える人はこれらの人々を支えられる存在となっていくことが大切と医療を通じて日々痛感しておりますが、支えられる存在となっていけるよう東京ほくと医療生活協同組合内の、王子生協病院、介護支援施設や訪問看護など全事業所が同じ思いで日々努力しております。
今月もよろしくお願いいたします。
日本国憲法での教育の権利
5月3日は憲法記念日です。戦後、軍国主義を脱却し、平和、民主主義憲法として制定された日本国憲法が、1947年(昭和22年)5月3日に施行されたことを記念して、設立された祝日と言われています。
日本国憲法には、国民の人権を保障する「国民主権」、戦争を放棄する「平和主義」、すべての国民の生きる尊厳を保障する「基本的人権の尊重」の3原則があり、すべての条文はどれも大切です。
その条文のひとつには、教育を受ける権利、教育を受けさせる義務が保証されています。日本が社会的秩序ある安全な国で、全国民が安心して安全に暮らせるのは、教育のおかげでもあると、私は思っています。
生まれてきた人が社会的善悪を知り人間的生活を営めるよう、これに不可欠な、読み書き、算術、などを、日本では義務教育として全日本人が教わり学びます。なんと素晴らしいことでしょうか。生涯教育の重要性も言われてますが、教育は大切なことです。
5月はちょうど、新しく学校生活を送る人、新しく入職した人が、学び始めることに少しずつ慣れていく時期です。
当診療所では、4月から新しく研修医の野村悠悟先生をお迎えしました。私たち指導歯科医師のほか、歯科衛生士、歯科技工士、事務職員の全員で、歯科医療業務に必要なものを指導しております。私たちは教えることで自らの知識などを復習、再整理し、改めて学び直すいいきっかけになり、野村先生にとっては教わることで多くのことを新しく学ぶきっかけになります。
野村先生には患者さんに携わってもらうことになります、どうか温かい目でみていただけたら幸いです。
今月もどうかよろしくお願いいたします。
わたしたちの連携
歯周病治療は歯科医師と歯科衛生士との連携で行われており、歯科医師の指示の下、歯科衛生士による治療が終わると、歯科医師が確認します。
患者さんの口腔処置を行っている最中に歯科衛生士に呼ばれ、離席しますが、一度腰かけたと思ったら次々と呼ばれて離席を繰り返さざるを得ないことも、時にあります。
先日、「先生が僕の治療で負担にならないように、一生懸命歯磨きして自分の口の中を一生懸命きれいにします。」と言ってくださった患者さんがいました。義歯調整に時間を要し、患者さんに長時間頑張っていただかざるを得なかった時、私の離席が度々あったにもかかわらず、「先生は売れっ子ねえ〜」とおっしゃり苦笑しながら待ち続けてくださった患者さんもいます。
現在外来患者さんの予約が大変混み合ってしまい、私の診療時間の午前中最後の診療時間が延長してしまうことがあります。患者さんは空腹なはずですが、「先生、お昼休憩は取られるのですか?お忙しいですね。」と心配してくださる患者さんもいます。患者の皆さんが私たち職員を労わってくださる気持ちは大変ありがたく思います。
歯科衛生士の治療の後の歯科医師の確認は非常に大切です。確認により歯茎にできた初期癌を見つけて治療いただいた方もおられます、私は、初期癌などの粘膜病変を見逃さないよう、くまなく口腔内を確認させていただいております。離席は大変心苦しいことですが、お時間をいただけたら幸いです。
また、患者さんの診療時間が長時間に及ばなくて済み、かつご満足いただける良い物を装着いただけるよう、義歯作製や義歯調整を始め、失われた口腔機能を回復する口腔内装置については院内歯科技工士との連携を今後も密にとってまいります。
生協組合員の皆さん、患者さん、そして当診療所の全職員に支えていただき、前所長前田先生より業務を引き継がせていただいてから、4月で1年を無事終えることができました。
今月もどうかよろしくお願いいたします。
卒業のシーズンです
学生時代を遥か昔に終えた私でも、母校への様々な思い出があります。
学生当時は、学生生活、学校の校風、教員の指導などにずいぶん不満を言い、こんな学校から早く卒業したいなどと考えたことはいくらもありました。
しかし今振り返ってみると、どの学校においても、確立された思想のもと厳しいながらに温情厚く教え育ててくださったと、今はありがたい気持ちしかありません。
3月は年度の節目にあたり、卒業、退職など、これまで生活を共にしてきた仲間との別れもあります。しかし真なる別れではなく、独立して新たに歩みだすためのあくまでも節目にしか過ぎません。
虫歯の治療、根にある神経の治療、歯のない所を補う治療など、歯科治療はひと段落節目がある治療が多くあります。
入れ歯がなかなか合わずに、調整に苦労した患者さんが「食事がおいしく摂れるようになりました、おかげさまで。」とおっしゃられ、入れ歯が合うようになったと聞くと、「ああやっと入れ歯の調整が卒業だ。」とホッとします。
しかし、歯周病が悪化しないようにするための維持治療など、一度改善した口腔内を良好に維持し続けるための治療は継続します。「卒業」にはなりません。
当院では、ご高齢、お身体のご病気により当院への通院が困難となり、通院は「卒業」となっても、訪問診療にて治療を継続いただいている患者さんも多くおられます。
歯周病安定期治療においては、歯科衛生士は、時に磨けていない場所をお伝えし歯ブラシの当て方などを指導させていただきます。中には、日頃頑張っているのに今日も叱られた、つらいなあと思う患者さんもいらっしゃるかもしれません。しかし、日頃のご自分での努力が、歯周病の悪化や虫歯予防や早期発見、治療に確実につながっていますので、どうか、定期的に足を当院に運んでいただけるとありがたいです。
なお、治療の内容などにご不明点、ご不満点などがあれば、いつでもご遠慮なくお伝えください。患者さんにとって最善の方法をご提案、提供できるよう私たちは患者さんと話し合います。
私ども事務職員も含めて職員一同が、患者さんにご納得いただける治療をご提供でき、よりよい口腔機能のもとでおいしい食事を召し上がっていただけ、毎日生活いただけるよう、日々努力し、運営しております。
今月もよろしくお願いいたします。
本質を見つめ、改善へ
今年は新年から胸を痛める出来事が数々ありました。大きなものとして、能登半島大地震がありました。
能登半島大地震で亡くなられた方々に謹んでお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
地震の翌日、物資を空輸しようとした海上保安庁の航空機と、日本航空旅客機(JAL)との衝突事故が羽田空港でありました。当初、国内の報道は、衝突事故についての責任、過失を問う報道が主でしたが、海外メディアは379名の乗客乗務員全員の命を守った日本航空(JAL)の乗務員を絶賛していました。このメディアの影響を受け、日本国内の報道も、責任追及に偏ったものでなく、死亡と生存を分けた原因の追及と再発防止策への内容に移行していきました。このことについて、東京医科歯科大学学長は、「意図と反したことが起こると、人は、『誰がやった?』『誰のせいだ?』となりがちですが、本来は『なぜ起こったのか?』責めるよりも原因を考え改善することが重要だ」と話しています。
どのような出来事もトラブルや事故はつきものです。医療においては、特に、患者さんの身体に影響する重篤な障害に結びつくこともあります。
私たち診療所では、事務職員含めた全職員にて、日々の診療業務の中で生じたトラブルや事故について、当然ながら患者さんには深く謝罪申し上げるとともに、職員に対しては責任追及や罰するための措置としてではなく全職員で事実を共有し原因追及、再発防止、改善していくべきことを検討しています。
今月もどうぞよろしくお願い致します。
今年もスタートしました
1月挨拶
12月31日は大晦日で、一年が終わることへのどことない寂しさがありますが、人の気持ちは不思議なもので0時を超えると、たった数分しか経っていないのに新年が明けたという新たな気持ちになります。
年の瀬には一年間にお世話になった方への挨拶が日常的にあちこちでやりとりされますが、当診療所にも年の瀬には委託している技工所の技工士さんが挨拶と患者さんに装着する連続したかぶせ物(ブリッジ)の納品を兼ねて朝早くにいらっしゃいました。
いつもは技工物を宅急便で茨城の技工所から当診療所に送ってくださいますが、その時は、宅急便配送では朝九時の診療予約の患者さんへの装着に間に合わないため、わざわざ診療当日届けに来てくださったのです。
その技工士さんは大病を患われた後、復帰し技工の仕事を再開しておられ、患者さんの装着後口の中での調整がほとんど不要なほど大変完成度の高い物を作製されますが、患者さんのためにというその責任感には大変頭が下がりました。
私たちは新年度ごとに毎年目標を掲げ、その目標に沿って職員全員が個々に努力し、よりよい診療所の運営、患者さんにご満足いただける診療に結び付けております。
外部委託する技工所の技工士さん皆さんの尽力もその目標達成には欠かせません。
今年もまた、患者さんにご満足いただけ、口腔機能向上、維持に尽力できる診療を目指して、職員全員が協力し努力してまいります。
2024年もどうかよろしくお願いいたします。
「師」について
今年も、「師が走る。」、師走となりました。
去る11月25日に民医連歯科部の拡大所長事務長会議が開かれました。その中で様々なテーマが扱われましたが、「民医連職員は、民医連に入職してから民医連職員として成長していく。」という講義内容の言葉はとても印象的でした。私が生協王子歯科に入職させていただく前の職場で出会った恩師、学んだ学校の教師など数々の私にとっての「師」が、私を育ててくださいました。
民医連歯科の一組織である生協王子歯科に入職してからは、前所長の前田茂先生、事務長をはじめ、職員皆さんに色々教わり、新たな技術、知識を得ながら今に至っています。
それだけでなく、所長を引き継がせていただいたのちも、王子生協病院の今泉貴雄先生をはじめ、他診療所の先生方、あるいは介護支援施設や訪問看護の職員の方々からとの連携も深め、自分は成長できております。
そして、何よりの「師」のような存在は、やはり患者さんです。
ほとんどの患者さんは私より遥かに人生経験を積まれてきた人生の先輩です。
そうした患者さん方との診療を通じて、こうした治療を施すことでどうしたら口腔機能の回復、維持や向上に結び付けられるかを、すべての患者さんで一人一人学ばせていただいています。
訪問診療で治療させていただいた90歳を超える長寿の患者さん方の中には、訪問申し上げると傾眠されていることが多い寝たきりの方もおられましたが、口から食事できる患者さんはみな100歳を超えるまで長生きされました。口から食事できるということは生命に直接結びつくのだろうと学ばせていただきました。
こうした多くの方々との出会い、教えが今の私の活動の根源となっています。
残り1か月ですが、医療事故なきよう気を引き締め、年の瀬を迎えられるよう、職員一同患者さんのために日々努力いたします。
どうかよろしくお願いいたします。
また、2023年も当診療所を利用いただき、誠にありがとうございました。
勤労感謝
私たちは訪問歯科診療を行っていますが、前の患者さんの治療が長引いたり、車の移動中での交通渋滞に巻き込まれたり、などの事情によりお約束通りの時間に訪問できず、患者さんやご家族をお待たせしてしまうことがあります。
以前、関連病院での数名の患者さんの診療や病棟職員との話し合いが想定以上に難航してしまい、一段落して時計をみると、次の患者さんの訪問お約束時間である10時から10時半頃、がすでに11時を15分ほど回ってしまっていました。「遅れます。」とお詫びするつもりでお電話し、「生協王子歯科です。申し訳ありません、実は10時過ぎとのお約束がこんな時間になってしまいまして・・今お伺いしますので。」とお詫びしましたら・・
ご家族様:「ちょっとあなた!ずっと待ってたのよ!!」とかなりご立腹です。
私:「大変申し訳ありませんでした。前の患者さんの治療が大変長引いてしまいまして・・ご連絡差し上げるのが今になってしまいました。」
ご家族様:「医者様が来るとなると、こっちは掃除したり部屋を涼しくしておいたり、色々準備があるのよ!!!先週、こっち(患者さんご自身)の都合でキャンセルになったから、今日は朝からずっと私も、買い物にも行かず、一緒に待っていたのよ!!」
私:「そんな・・準備なんていいのですよ。」と言うと、それをさえぎるように、
ご家族様:「そんなわけにはいかないわよ!!」
私:「ご準備ありがとうございます。今日は申し訳ありませんでした。どうしましょうか、予約を変えますか?」
雲一つない晴天。いつもは患者さん一人で在宅し、ご家族は外に買い物にいらっしゃるお時間です。私どもの診療が遅くなったことで、せっかくの晴れの日に買い物にも出られません。心苦しく思いながら話しました。
ご家族様:「いいわよ。診てもらいたいから。今すぐに来るんでしょ?待っているから。午後は内科の往診があるし。」と声は穏やかになり、ありがたいお返事が返ってきました。
振り返れば、季節は真夏真っ盛り。その患者さんを訪問すると、毎回毎回、診療する部屋に扇風機が回っていて暑苦しい部屋は快適になっていますし、何枚かの座布団が敷かれ、往診記録ノートなどが丁寧に並べられていました。
ご家族の激しい剣幕のお言葉を受けて初めて、恥ずかしながら、医療者をもてなすためのさりげない仕度を診療の度にあらかじめしていただいていたことを初めて知り、私たち医療従事者への厚い感謝のお気持ちをいただいていたことを初めて知った次第です。実にありがたいと思いました。
11月23日には勤労感謝の日があります。私たち医療従事者をはじめ当歯科職員全員は、患者さんにとって「受診してよかった。」とご満足いただけるような診療、事務対応ができるよう、日々精一杯努力しております。これは私たち職員にとっては、ごく当たり前のことに日々取り組んでいるだけではありますが、これらの活動に対して感謝いただいている患者さんやご家族皆様のお気持ちは大変ありがたく励みとなりました。
今年も早いもので、来月で終わりになりますが、残りの期間も、当歯科職員全員が日々努力いたします。どうかよろしくお願いいたします。
お祭りの季節です
秋の収穫を願って、例年秋は、神社での祭礼と御神輿担ぎが地域の伝統行事として各地域で盛んになり、いつもはうっそうと茂る鎮守の森の中で一年のほとんどは影をひそめてたたずむ古いお社が、秋祭りの時ばかりは大々的に脚光を浴び、お社境内の露店には小さな子供たちがたくさん集い夜遅くまで大賑わいで、この時ばかりは、たちまち、地域の遠い昔からの鎮守としての威厳を顕わにします。
新型コロナウィルス感染対策のため、数年は行事が自粛されていましたが、今年は新型コロナウィルス感染症の分類移行に伴い、自粛が解除され、今頃からしばらくは、各地域で盛んに御神輿が担がれ、秋祭りで賑わい、小さな子供たちが大人になった気分で夜遅くまで神社周辺を走り回るほどかもしれません。祭礼行事やこれを取り持つ地域の施設は、現代に育つ子供たちと遠い昔からの伝統的な風習を伝承する地域の大人達とをつなぐ、地域の一つの拠点のような役割を担っているように思います。
当診療所も、かかりつけ歯科としての地域の拠点診療所です。特に当診療所は王子生協病院や居宅介護支援施設、訪問看護施設などとも連携を密にし、組合全体で患者さん一人一人のことを真剣に考え、顎顔面口腔機能で困ったことを解決するため、診療に日々取り組んでおります。
スマートフォンなどの便利な通信機器が発達した今でも、地域に居住する患者さんが当診療所を受診してよかったことや解決した困りごとを口伝えに地域に広めてくださり、これを聞いた新しい患者さんも多く来院されるようになっています。当診療所は益々地域の拠点診療所としてお役に立てるようになっていく一方で、あいにく予約も入りづらい面もあいにくありますが、ご来院される患者さんみなさんにご満足いただけるよう、職員全員が協力して問題点の解決に取り組み、日々努力をしております。
今月もよろしくお願いいたします。
9月のご挨拶
夏の終わりから秋にかけては台風到来のシーズンとなります。
台風は野分(のわき)と古くは呼ばれていましたが、野を分ける台風の勢いと災害を体感してこのように呼んだ古典の人は、非常に風流があると思いますが、災害のすさまじさも当然頭にとどめておかなければならないことです。
この診療所近辺は川がとても多いですが、雨による水害が起こらないよう治水事業が非常に行き届いています。荒川、墨田川、多摩川などの都内の川の氾濫による水害が地域に大変な被害をもたらし、治水事業が古い時代から長らく行われていたことは、学生のころ社会科では学びましたが、私がこの診療所に来てから、治水事業の成果を改めて知り、とても驚きました。
治水事業のほか行政が取り組んできた事業の一つに急速に進む超高齢化社会に対応しての介護保険制度や高齢者医療制度があり、それぞれの制度にはまだ課題は山積であり継続的に改革は進められていますが、一定の運用はされており、この制度のもとで私どもは外来診療のほか訪問診療も行っています。
患者さんの中には、これまで元気に外来通院されていましたところ、お怪我や病気で入院などされその後、外来通院が非常に困難になる方がおられます。
この患者さんやご家族に訪問診療のご案内をすると、訪問診療があったとは知らなかった、ぜひ利用したいと驚かれる方も少なくありません。介護支援事業施設を通じてでも、患者さんやご家族からの利用申し込みでも、遠慮なくご相談いただきたく思います。
私たちは看取りまで口内や歯のお困りごとを解決し、いつまでも口から食事していただけて、話すことなどの機能も衰えることなく、生活を毎日充実して送っていただけるよう、外来診療ならびに訪問診療を行っており、職員全員が協力して支援をさせていただいております。
今月もよろしくお願いいたします。
〜平和を願って〜 8月の記憶 医療従事者の役割
高校生のころ、倫理哲学の授業で「人は一番大切なもの、一番思い入れのあるものは口に出せないものだ。宗教の中には、神として祀るものには名前を付けないいわゆる『名無しの神』をあがめるものもあります。それほど神を畏れ多いと思うものなのですね人間は。」と先生が話したことがあります。確かにその通りで、もっとも心に留めている大切なものなどはなかなか他人には言えず、自分の心に秘めているもののように思います。
毎夏、太平洋戦争のことを振り返る季節になります。戦争の経験をされた方も高齢になられ、戦争体験を語り継げる方も減りつつある現状を危惧し、辛く恐ろしい戦争を二度と繰り返さないようにするためにこの体験を伝承しなければと強く言われています。戦争体験を見聞きする戦争未体験者である若い私達ですら当時のことを見聞きすれば、内臓を口から吐き出したくなるほど辛い辛い想起をさせるものです。辛く恐ろしい戦争のことは思い出すだけでも辛く、記憶の底に沈めたまま口にも出したくないという人が少なくないことを若い私達は知った上で、既存の戦争体験に関する書物などを伝えていかなければならないように思います。
口に出すのもはばかれるような畏れ多いこととは正反対に、口に出して明確に伝えなければならないものに、私達医療従事者の医療行為についての患者さんへのご説明があります。患者さんのよりよい口腔機能、生活の質をご提供するために提供する医療について、私達職員全員が、医学的根拠、治療方針やその内容、予後などについて、患者さんに分かりやすくご説明できるよう日々努力しております。
今月もどうかよろしくお願い申し上げます。
わかちあい
昨日私は、ささいなけんかをしてしまい、気持ちが少し晴れないでいます。
みなさんは、家族、友人や職場の人と意見が食い違って、けんかになることやけんかにはならないでも我慢しなければならないような不満を持つことはありませんか。
ちょっとしたことで意見が食い違い、つい相手とけんかや言い争いになることは、私も時にあり、その直後はとても後味が悪いものです。しかし、時間の経過とともに、こだわりが消え、相手との出来事は記憶の底に落ちていき、いつしかまた通常通り、話を分かち合える状況に回復していくことがほとんどです。
患者さんと我々医療者においても、時に意見の食い違いが生じます。それは私たちが標準的で医学的に最善とされる医療を施しても、私たち医療者の診断、施術そのものが患者さんの強い思いにより受け入れられないという事があります。
食い違いが生じると、患者さんは非常にご不満を持たれ、中には怒り出す方もおられます。しかし、私がこれまで臨床医をやってきて、患者さんとの意思疎通が出来ないまま断絶したことは一度もありません。私たちと患者さんとの話し合いにより、患者さんは状況を納得され、互いに分かり合う事で「先生も一生懸命やってくれたから、これでいい。」と言葉をくださることすらあります。実にありがたいことです。
日本には「おたがいさま」というとてもいい表現があります。不満に対する自分の我慢と引き換えに、相手を赦せる(ゆるせる)日本人の国民性はとても素晴らしいと思います。
私たち医療者は患者さんの口腔機能、生活の質をよりよくしていけるよう、日々努力をしておりますが、そのために診療時間が超過し、患者さんをお待たせすることになったり、治療が予定通り進められなかったりして、トラブルが生じることもあります。時に患者さんには私たちの努力の気持ちがうまく伝わらず、意思の疎通がうまく出来ないことがあるかもしれません。しかし、患者さんやご家族とは必ず、「わかちあう」ことができると信じて、職員一同は日々努力しております。
今月もどうかよろしくお願いいたします。
梅雨の季節到来です
関東地方は6月ごろ梅雨の季節に入ります。
先日急な夕立が到来し、雨の中買い物したたくさんの品物を両手に抱えて帰らねばならなくなりました。会計していた店員さんは「雨ですが、こんな大荷物で大丈夫ですか?買い物してお店で保管し明日取りに来られるか上司に聞いてみましょう。」と上司の職員に掛け合ってくださいました。その上司の不許可により、商品の取り置きはできず、重い荷物を両手に抱えて傘を差しながら大雨の中を歩いて帰りましたが、その店員さんの心配りがとても印象的で、店を去ってからも私の苦労をさわやかに消し去ってくれました。
私たち医療従事者は医療サービスをご提供する立場に日々ありますが、いざサービスを提供される立場になってみると、心象よい対応というのがどういうものか振り返るいい機会になりました。
相手の気持ちに立って考えるというのはとても難しいことで、話し合いによって解決に結びつきます。医療従事者に気持ちをわかってもらえないと考える患者さんは、遠慮なく、ご不明点やご不満点をいつでも私たち職員にお伝えください。
私たち職員は全員が患者さんの気持ちに立って、配慮し、できる限りの対応をさせていただくつもりで日々努力しております。歯科治療においては、可能な処置、不可能な処置、よりよい口腔機能、生活の質に結びつけるために不可欠な処置は患者さんの気が進まなくても処置の利点、問題点を十分にご説明し納得いただいて、行っております。
今月も何卒宜しくお願い申し上げます。
皐月
新緑がまぶしい季節になりました。5月は旧暦で「皐月」とされ、早苗を植える月という意味が由来との説があります。早苗は成長しいつしか実りを与えるものとなりますが、実りにつながるまでには長い過程があります。
歯周病は歯科疾患の中の多くを占める傷病の一つです。歯周病では長年蓄積されてきた口の中の汚れや排泄物が原因で歯の周りの骨(歯槽骨)が溶解し、弱った歯茎と骨の間の隙間の歯周病菌が痛みや腫れを引き起こしますが、長年蓄積されてきたものを除去する歯周病の治療を始めても成果が出るまでには時間を要します。
歯科治療には、歯周病のほかにも、歯の中の神経に及んだ虫歯菌の感染を除去するための根管治療(歯の神経を除去し神経を入れた細い管を消毒し薬を詰める治療)などもあります。この治療も根気強い通院が必要です。
時間をかけて生じた傷病について、1回の歯科医院受診では解決しない病状が多くあり、治療の効果が実を結び病状が回復するまでに根気強い通院をお願いしなければならないことをどうか理解いただけましたら幸いです。
なお、当診療所では、急に腫れたり痛んだりしたため予約外での受診を希望される患者様のご希望にもできる限り添えるよう対応しております。このため、予約で来院された患者様にも担当医が席を外す事情などについてご理解とご協力をいただかざるを得なかったり、予約外でいらした患者様には応急的な対処のみとならざるを得なかったりすることがございますが、何卒宜しくお願い申し上げます。
はじめまして
皆様 はじめまして。
私は2023年度(令和5年度)4月より、前田茂所長の後任として所長を引き継がせていただくことになりました望月裕美(もちづきゆみ)と申します。
生協王子歯科と出会いのきっかけは、王子生協病院緩和ケア科にあります。私はこれまで東京医科歯科大学顎口腔外科学分野(現:顎口腔腫瘍外科学分野)に在職し、口腔がん患者様の心や身体のお痛みに向き合い、治療にかかわって参りました。王子生協病院緩和ケア科は当歯科と連携があり、口腔ケアも含めた口腔がん特有の緩和ケアを考慮する際には、王子生協病院緩和ケアへの依頼はとても心強いことでした。これが生協王子歯科との出会いの発端です。
私がこれまで主に取り組んでいる口腔外科治療は、大病院に行かなければできない特殊な治療と考える方もおられますが、実際には、知識と技術さえあれば地域医療の中で解決できるものも中にはあります。ご高齢の方、身体的に不自由な方、仕事が多忙で通院回数などが限られる患者様方など通院に制約を伴う方々にとっては、ご自宅から通院しやすい近所に口腔外科治療ができる診療所があることはどれほど心強いだろうかの思いから、地域医療への従事を切望し、また、民医連の医療倫理に賛同し、当歯科に参りました。
当歯科の強みは、大きくは2つあると思います。一つは、歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士や歯科助手といった医療従事者だけでなく事務職員も含め、職員全員が一同になって患者様一人一人のことを日々、真剣に考え、話し合い、治療方法の在り方など常に研修を行って、より満足いただける治療をご提供していることです。もう一つは、東京ほくと医療生活協同組合のネットワークの中で、組織全体で医科・歯科・介護の密な連携をとり、居宅療養の患者様の日常生活に根差した訪問歯科診療も行い、日常生活の中で患者様の困っておられることも連携の中で情報を共有し解決に結びつけていけることです。
私は生協王子歯科で日々診療ができることを嬉しく、また皆様の口腔機能向上、ひいては生活の質の向上にかかわれることを嬉しく思います。
これから、どうかよろしくお願い申し上げます。
東京ほくと医療生活協同組合 生協王子歯科 前所長 前田茂 |
退任のご挨拶
春光の折、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、この度、前田 茂は3月31日をもちまして所長を交代することとなりました。永年にわたり格別のご厚情を賜り厚く御礼申し上げます。所長交代後も歯科医師として引き続き勤務し、地域医療発展のため努力してまいります。
なお、後任には当院歯科医師の望月 裕美が就任いたします。
これまで同様に格段のご支援ご高配を賜りますようお願い申し上げます。
2023年3月31日 前田 茂
歯科から発信する社会保障運動
3月になり、暖かい日も多くなってきました。今年の冬は寒暖の差が大きく体調を崩された方もいらっしゃると思います。
春は生活環境の変化する方も多いかと思います。
新型コロナウイルス感染症は季節性インフルエンザと同等の5類感染症に5月8日から変更される予定です。すでに感染者数もかなり減少しており新型コロナウイルス感染症からの解放感も社会に広まりつつあります。新型コロナウイルス感染症から3年が経過し、社会生活を一定正常に戻すことはやむを得ないことかもしれません。死者数を見ると今年の1月は1か月の新型コロナウイルス感染症による累計死者数が過去最高だったようです。まだまだあなどれない状況が続いています。みなさん、充分にご自愛ください。
生協王子歯科が加盟する全日本民医連歯科部では、経済的格差が口腔の健康格差を広げている事例を集め実態を明らかにし、「口腔崩壊」という言葉で告発してきました。同時に、口腔崩壊の原因が自己責任だけではない、歯科における「手遅れ事例」であることも訴えてきました。歯科の受診率は医科以上に所得格差の影響を大きく受けるため、窓口負担が重くのしかかります。歯が痛くても、歯肉が腫れ上がっても、歯が抜けてバランスの良い食事をとることが出来なくても我慢するのです。さらに、自費診療の存在を理由に保険給付拡大を厚労省が拒んでいます。経営の厳しさのため自費診療を放棄することが出来ない歯科界の事情が「保険でよい歯科医療」の運動を難しくしています。
近年、80歳で20本以上の歯を持つ方が5割を超え子どもの虫歯も減ったように口腔内の健康意識が高まる一方、口腔内に現れる「社会的困難」の実態は、医療機関だけでは解決できない社会的な問題であり、自己責任という視点ではなく、社会全体を改善させていくことが大切です。
近年、歯科医療は全身疾患との関連や生活の質の改善にも深く関わっていることが明らかにされています。窓口負担の軽減と予防を同時に行うことが重症者を減らし医療費全体の削減にも繋がります。日本の医療・介護・社会保障制度が基本的人権に基づいた「いつでも、どこでも、誰もが」安心して受けられ「健康」を支えるもの、「その人らしい人生を送る基盤」となるものに整備されるよう、「保険で良い歯科医療を」を含むあらゆる社会保障の充実を社会に訴えます。
生協王子歯科は、全日本民医連の一員として「保険でより良い歯科医療」署名をお願いしております。皆さんのご協力をお願いいたします。
歯磨き剤について
早いもので今年も1か月が過ぎ2月4日はもう立春です。ただ、2月はもっとも寒い月とも言われています。新型コロナやインフルエンザの感染への警戒も充分に必要ですし風邪もひきやすい時期です。みなさん、くれぐれもお身体を大切にされてください。
今月は毎日、使用する歯磨き剤についてお話しいたします。
歯磨き剤には種々の成分が配合されており、@虫歯を防ぐA歯垢を除去するB歯肉の炎症を抑えるC口臭を防ぐD歯を白くするE歯のヤニを取るF口中の汚れを洗浄するG知覚過敏を緩和するなどの作用があり歯磨き剤のチューブや外箱に「成分」の表示があります。歯磨き剤には、薬事法により、化粧品歯磨き剤と特定の薬効成分を加えて虫歯や歯周病の予防を主目的とする薬理作用を加えた医薬部外品歯磨き剤および数は少ないのですが歯肉の炎症を抑える成分を含む医薬品歯磨き剤があります。
歯磨き剤には研磨剤という成分がふくまれていますが研磨剤で歯が削れるということを聞かれたことはないでしょうか?
かつては歯磨き剤に粒子の粗い研磨剤がふくまれていましたので歯が削れるということもあったかもしれませんが現在は国際規格で歯が削れるほどの研磨剤は含まれていませんので安心してください。
歯磨き剤にはペーストタイプとジェルタイプがあります。ペーストタイプは発泡剤で爽快感が得やすく着色除去効果も高いのですが泡立ちで磨いた気になりすい歯磨き剤です。ジェルタイプは低発泡のため薬用成分が口の中にとどまりやすく虫歯予防や歯周病予防の効果が高まります。
歯磨き剤の使い方としては、まず歯磨き剤無しでブラッシングした後で、歯磨き剤を歯ブラシに付けて歯の面全体に塗るように、力を入れないでブラッシングするという方法か、最初から歯ブラシと同じ長さだけ歯磨き剤を付けて、ゆっくりと丁寧に時間をかけてブラッシングする方法があります。いずれにしろ、正しい歯磨きの仕方を習得することが大切です。
虫歯予防や歯周病予防のためには 医薬部外品と表示してあるものを選び、フッ素入りか、歯周病予防用を選ぶことをお薦めします。生協王子歯科では、チェックアップという、フッ素とキシリトールを配合し、歯の再石灰化を促進し、虫歯の発生・進行を予防する歯磨き剤を販売しております。
明けましておめでとうございます。
明けましておめでとうございます。
昨年も生協王子歯科は、組合員の皆様、地域の皆様に変わらぬ御支持、御支援を頂き、ありがとうございました。
日本漢字能力検定協会が発表した昨年の漢字の第1位は、「戦」でした。昨年は、ロシアによるウクライナ侵攻や北朝鮮によるミサイル発射など直接的な戦争への不安を日本人も感じました。また、いまだ収束の見えない新型コロナウイルス感染症や、円安、物価高などにより、日常の生活において私たちは戦いを強いられています。「戦」という字が第1位になるのは、やはり大変な1年だったと実感します。
そして、今年2023年ですが、どんな年になるかやはり考えてしまいます。私たちは予言者ではないので実際には分からないのですが、どうしても考えてしまうので古来未来を探る手段として使われてきた干支を見てみます。2023年の干支は「癸卯(みずのと・う)」です。干支は中国の古い思想をもとにして60年周期で循環する暦で、それぞれの暦に意味があります。それによると「癸卯」は、「寒気が緩み、萌芽を促す年」だそうです。コロナ禍もあり、我々はここ数年様々ことに耐えて頑張ってきました。そうやって頑張ってきたことが、段々と報われる年になるのかもしれません。諦めずに希望を持ち続けてきて良かったと実感できる年にしたいものです。
今年もよろしくお願いいたします。
年末年始に歯や口のトラブルがおきたら
2022年も、残すところわずか1ヶ月になりました。今年もコロナ禍が続く中、組合員、地域の皆様に生協王子歯科をご支援、ご支持いただき、ありがとうございました。生協王子歯科職員一同、厚く御礼申し上げます。
年末はあわただしい日々ですが、クリスマスがあったりお正月にも近く、心楽しくなる時期でもあります。ただ、年末年始はほとんどの歯科医院がお休みとなるので、歯が痛んだり腫れたり、被せ物が取れたりなどのトラブルがあるとせっかくのお正月が台無しになってしまいます。年末年始に歯や口のトラブルがおきた場合にご自分で出来る対処法をご紹介いたします。
◆歯が痛い時
1.市販の痛み止めを服用する。
歯の痛みに対し市販薬を選ぶ時は、下記のポイントをチェックするとよいでしょう。
@ 痛みの緩和に役立つ成分が含まれているか。
具体的には、以下の成分が歯の痛みに有効です。
(持病がある方は、薬剤師と相談してから購入しましょう。)
・イブプロフェン
・ロキソプロフェン
・アセトアミノフェン
2.冷やす
虫歯による痛みの場合、冷やしたタオルを患部に近い頬に当てることで、痛みを和らげることが出来ます。おでこに貼る冷却シートを頬に貼ったり、氷を口に含んだりするのも効果的です。冷やしすぎると逆効果になるため、長時間氷や冷水を使うのは避けてください。また、軽度の虫歯や歯周病は、冷やすことで痛みが増すことがあります。痛んだり腫れたりして熱を持っている場合に冷やすなど、様子を見ながら行ってください。
3.口内を清潔にする
食後に歯の痛みを感じる場合は、柔らかい歯ブラシや、デンタルフロス、うがい薬などを使用し、口内を清潔にしてください。食べカスが原因で引き起こされている歯痛は、取り除くことで軽減できます。口内を掃除する際、痛みを感じている歯を刺激しないように注意してください。
◆被せ物や詰め物が取れた時
取れた物は保管し、歯科に持参してください。接着剤などを自分で付けるのは絶対にしないでください。間違った位置に付いてかみ合わせに不具合が生じたり、作り直すために、余計に歯を削る必要が生じたりする場合があります。
◆入れ歯が壊れた場合
壊れた入れ歯を使わないでください。お口の中を傷つけたり、入れ歯を飲み込んでしまう危険があります。また、自分で接着剤などを使って修理しないでください。できるだけ早めに歯科を受診して修理してもらいましょう。すぐに歯科を受診できない場合は、かみやすい物を食べるなどして、誤嚥しないように気を付けましょう。
◆歯や口をケガした場合
転ぶなどして歯を折ったり、口の中を傷つけたりした場合、できるだけはやく歯科を受診した方がよいのですが、受診する前に焦らず自分でできる応急処置をしてください。応急処置に関しては、日本歯科医師会8020パーク「歯の外傷応急処置の基本」にまとめられているものがありますので、ご参考になさってください。
もし年末年始に歯や口のトラブルがおこった場合、
北歯科医師会の休日歯科診療所(電話番号:3900−5009)にご連絡下さい。
受付時間は午前9時から午後5時までです。
皆様が歯と口の健康を保って、年越しそばやおせち料理などをおいしく食べて、楽しいお正月を過ごされることを願っております。
それでは、よいお年をお迎えください。
今年は、11月7日(月)が立冬です。
早いもので、11月7日はもう立冬です。今年の10月は雨続きで師走なみに寒い日もあるなど冬が早まった感がありました。11月になると、さらに朝夕冷え込んでまいります。
立冬は1年間を24等分した24節気の一つですが、24節気は太陽の動きによって日にちが決まり、今年は11月7日が立冬です。期間をさす場合は、11月7日頃から11月21日頃になります。
立冬は冬の始まりの日という意味ですが、この時期は秋から冬への変わり目で昼夜の寒暖差が大きくなる時期でもあります。1年の中でも最も体調を崩しやすい時期なので、立冬には十分な休息と栄養を取り、冬を乗り越える為の準備をする期間とも言われています。
この冬は新型コロナウイルス感染症の「第8波」が起きる可能性が高いと専門家が予想しています。第7波の感染者数は減少が続いていますが10月に入って下げ止まりの傾向にあり、政府の「全国旅行支援」などにより人の流れが活発になってきており、ワクチン接種の免疫力が保持されるのは4、5か月程度で免疫力が減衰している人が増えていると思われるからです。
さらに、この冬はインフルエンザの大流行が予想されています。過去2年間国内ではインフルエンザの流行が無かったので、社会全体のインフルエンザへの集団免疫力が低下していると思われます。しかも今年流行が予想されるインフルエンザはA香港型で、A香港型は入院や死亡する可能性が増加することが知られています。
新型コロナウイルスとインフルエンザの同時流行が発生すれば、医療が逼迫するのみならず、社会機能全体に著しい支障が生じます。このことに備えるためにも、自分自身の十分な免疫力が大切です。そして、65歳以上の高齢者や糖尿病などの全身疾患を有している方には、積極的なワクチン接種が呼びかけられています。
改めて、換気やマスク着用などの基本的な感染対策を守りましょう。
生協強化月間です!
今年は9月にも暑い日がありましたが、ようやく秋めいてまいりました。
皆様いかがお過ごしでしょうか。
10月は、島根県の出雲大社に全国の神様が集まって来年のことを話し合うため島根県以外の地域ではその地域を守る神様がいなくなるので神無月と言われ、島根県だけは神様が集まるので神有月と言うそうですが、これは平安時代以降に広まった俗説だそうです。
ただ、年末まで3カ月となり、改めて心を引き締めるきっかけにしてはいかがでしょうか。
10月から生協王子歯科の所属する東京ほくと医療生活協同組合では、生協強化月間が始まります。生協強化月間とは、我々の医療生協に、さらに多くの方に加入していただき、医療生協の担い手を増やし、生協のネットワークを大きく広げることに集中して取り組み期間として位置づけられています。
新型コロナウイルスの感染症は一時よりは減少傾向にありますが、地域からは「いつコロナにかかるか不安で外出を控えている」、「自分と家族が陽性になり大変」、「家族が虚弱になり、認知症が進んで心配」など2年以上続くコロナ対応の不安の声が聞かれます。感染予防に最大限の注意をはらいながら、これまで培ってきた東京ほくと医療生協の活動の強さを最大限に生かし、今の困難に立ち向かう「生協強化月間」にしていきましょう。そして地域の財産でもある生協の事業を支え、発展させ、安心のネットワークをひろげるため、担い手・仲間ふやしと出資金ふやしをすすめましょう。
今年の生協強化月間の目標は以下の3点です。
*担い手さんをふやしましょう。
*たすけあいで新たなつながりをつくり仲間をふやそう
*地域の安心・安全な医療・介護守るため「〜秋冬〜ほくと応援増資運動」に取り組もう
生協王子歯科は、医療生協の歯科として、皆様とともにこの運動の一翼を担います。
なにとぞ、ご協力をよろしくお願いいたします。
唾石症について
9月とはいえ、まだまだ暑い日が続いております。
今年は最も猛暑の日の多い夏でした。
新型コロナウイルス感染症の第7波は感染者数も療養者数も高い水準が続いております。収束はまったく見えません。心身ともに疲労が蓄積するばかりですが、出来る限り疲労回復に努め、自分と自分の周りの人たちを守っていきたいものです。
9月は、「中秋の名月」という1年で最も美しい月を見ることができます。今年の中秋の名月は、9月10日(土)だそうです。美しい月を眺めて、少しでもストレス解消ができたらいいですね。
先月は「口の中にできるガン」についてお伝えいたしましたが、今月は歯科に関わるやや珍しい病気である「唾石症」についてお伝えします。
人間の身体の中には、石ができることがあります。尿路結石や胆石などですが、唾石症といって唾液を作る唾液腺や唾液が通る管の中に石ができてしまうことがあります。唾液腺には耳下腺、顎下腺、舌下腺がありますが、特に耳下腺、顎下腺で唾石ができやすく、顎下腺の唾液は粘りが強いので最も唾石ができやすいのは顎下腺です。小さなカルシウムの塊がだんだん大きくなって唾石になるのですが、小さいうちは無症状で、大きくなると唾液腺管が詰まって唾液の流れを妨げ、食事の際に痛みが出たり顎の下や耳の下や舌の裏側が腫れたりします。
舌の裏側や口の中の頬を触るだけで確認できることもありますが、レントゲンやCTの撮影で確認します。
無症状の場合は経過観察となり、石が小さい場合は自然に排出されることが多いです。痛みや腫れが強い場合は細菌感染を起こしている場合がありますので、鎮痛剤や抗菌剤を処方します。大きい唾石は口の中の粘膜や皮膚を切開しての手術で摘出しますが、最近は切開しないで内視鏡により摘出が可能な場合もあるようです。
上記のような症状がある場合は、まず、歯科か耳鼻咽喉科を受診してください。
生協王子歯科を受診された場合は、口腔外科専門医の望月歯科医師が診察し、必要に応じて専門機関を紹介いたします。
口の中にできるガンの早期発見
早いもので8月7日は「立秋」です。二十四節気という気候の推移を示す季節の考え方では秋の始まりですがむしろ夏本番で暑さがピークといってもよい時期です。
しかしながらこの時期にはひぐらしが鳴き始め、夕方には涼しい風が吹くこともあり秋が近いこともなんとなく感じます。節電に努めながらも、熱中症には充分気を付けて、秋を待ちましょう。
さて、どんなガンでも、早期発見・早期治療は最も大切なことです。口の中にできるガンは「口腔ガン」と呼ばれています。口腔ガンのできやすいところは舌の左右の縁、歯に近い歯肉、舌の付け根、頬の粘膜、唇などです。
早期の口腔ガンはひどい痛みがなく、食べ物が触れたり、舌が動いて歯に接触したりしたときに感じる程度のものなので、口の中の衛生状態が悪く、いつも歯や歯肉が痛かったり、虫歯の穴の角や入れ歯が歯肉にすれて痛みがあると、早期のガンができたとしてもそれにまぎれて見逃してしまいます。そこで口の中のガンの早期発見は、まずは歯や歯肉がいつも健康に保たれていることが大切です。そうすれば、粘膜のちょっとした変化にも早く気がつくはずです。
口の中には食べ物や熱い飲み物、入れ歯、口内炎などによるさまざまなただれがよくできますが、もしそのただれが、
@1ヵ月以上続くただれ、しこり
A痛みのない赤い斑点、白い斑点
B痛みのない腫れ
この三つの状態であったならば、早めに歯科医に相談して、診てもらってください。
口の中は、鏡を前にしてアーと声を出すように大きな口を開ければ、奥の方までよく見えます。できれば、一ヵ月に一度は自分で見るとよいでしょう。
あとになって後悔することのないように、いつも口の中の状態に関心を持ち、虫歯や歯周病などの病気も早く治療しておくことが大切です。
生協王子歯科では口腔外科専門医の資格を有する望月歯科医師が口腔ガンについて病理組織診断による確定診断をおこない、大学病院等の専門医療機関をご紹介いたします。
当院は予約制となっておりますので事前に予約をお取りください。
7月に「高齢者」になります
今年も半分が過ぎ、もう7月となります。暑さが本格化し熱中症に備えるべき季節となりました。皆さん、充分ご注意ください。
私は、7月に65歳になります。日本でも多くの先進国でも高齢者の定義は65歳以上となっていますが、この定義には医学的・生物学的に明確な根拠はないようです。私自身も高齢者になるという自覚はなく気持ちは若いままですが、高齢者になるんだなあと改めて思わされたのは、65歳以上を対象とする介護保険の第1号被保険者の保険証が届いたことです。ご覧になったことがある方もいらっしゃると思いますが、緑色の紙の保険証です。介護保険では40歳から64歳の方は第2号被保険者に分けられていますが、65歳以上の第1号被保険者は原因を問わずに要介護認定または要支援認定を受けた時に、介護サービスを受けられます。つまり、65歳以上になるとどんな方でも介護の対象となるので高齢者というイメージになっているようです。ただ、高齢者にはまだまだ若く活動的な人が多くなっており、いわゆる「若返り」が見られます。
日本人の若返りを分りやすく説明する時に、漫画サザエさんのお父さんの磯野浪平さんがよく例に出されます。磯野浪平さんは1965年12月16日の漫画の一コマで自分が54歳であると述べているのですが、サザエさん一家は年齢が変わりませんので、50年以上前の50代のイメージが現在よりずいぶん老人に近いことがよくわかります。この若返りに伴い高齢者の定義を見直すべきだという意見が多く、日本老年学会と日本老年医学会が合同で提起した高齢者の新しい定義は、以下の通りです。
65〜74歳 准高齢者 准高齢期
54〜89歳 高齢者 高齢期
90歳〜 超高齢者 超高齢期
この高齢者の若返りが維持され高齢者の活発な社会活動が促進されれば、日本社会の様々な制度の強力な支えとなると思います。
私自身は自分が高齢者であるかどうかはどうでもよく、いつまでも元気で明るく前向きに生活していきたいと思っています。
ロシアのウクライナ軍事侵攻に伴う銀歯の材料価格の高騰
早いもので、今年ももう6月です。今年は5月も雨が多く、5月から梅雨が始まっているような季節です。6月下旬から7月上旬には、集中豪雨による水害の発生も予想されております。十分に注意しましょう。
2月にロシアによるウクライナの軍事侵攻が始まり、戦争の悲惨さを目の当たりにしております。我々は1日も早いロシアのウクライナからの軍の撤退と平和の回復を求めます。
元駐ウクライナ大使の黒川祐次氏の著書「物語 ウクライナの歴史」によれば、ウクライナ史の最大のテーマは、「国がなかったこと」だそうです。実際、ウクライナは1991年にソビエト連邦が崩壊するまでは独立した国としては存在しておらず、ロシア帝国やソビエト連邦の一部として存在してきました。ウクライナという国は本来非常に豊かな国で農業では日本の全面積と同じぐらいの耕地面積を有し、21世紀の世界の食糧危機を救うのはウクライナであるという予想さえあります。また、大工業地帯でもあり科学技術の水準は極めて高く、ソビエト連邦の最先端のミサイルを生産していたのは実はウクライナだったとのことです。
文化的にも優れており、チャイコフスキーやドストエフスキーはその先祖はウクライナ出身といわれ、ピアニストのホロビッツやリヒテルはウクライナ人です。
このように本来素晴らしい国であるのがウクライナですが、ずっとロシアの一部であったため今でもロシアはウクライナを他国とは見なしていないのかもしれません。今回の軍事侵攻も侵略とは思わず、国内の反乱を鎮圧しているという意識かもしれません。それゆえ、国際社会からの解決が困難なのではないでしょうか。
このロシアのウクライナ軍事侵攻のため、歯科が治療で用いる銀歯の材料に含まれるパラジウムの価格が高騰しています。これは、パラジウムの生産の約4割をロシアが占めているからです。パラジウムは希少貴金属ですが歯科の保険診療で用いる銀歯の材料として欠かせないもので、この4月に銀歯の材料価格が1g当たり3,149円に引き上げられました。ちなみに、銀歯1個当たりこの材料を2〜3g使用します。ところが価格高騰があまりに急激なので、さらに5月から1g当たり3,413円に引き上げられました。さらに7月には1g当たり3,715円に引き上げられる予定です。侵攻前に比べると約26%の引き上げになります。このような状況が続くと患者の皆さんの大きな負担増になるとともに、歯科医院の経営も大きく圧迫します。
このような価格高騰は様々な分野に及んでおり、私たちの生活を大きく圧迫しつつあります。
軍事侵攻を1日も早く終わらせ平和を回復させるために、私たちもできることをやりましょう。
寝たきりの方の歯科往診
早いもので、5月5日はもう立夏です。
みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
寒暖の差が激しかった春からいよいよ本格的な夏に向かいます。
熱中症の発症者は5月に最も多いとも言われ、熱中症対策をそろそろ意識する必要があります。
新型コロナウイルス感染症も第6波が収束しないまま5月以降に第7波に突入することが予測されています。
新型コロナウイルス感染症発生から2年が経過し自粛生活には疲れ切っている方も
多いかと思いますが基本的な感染予防対策を引き続き守りながら日常生活を大切にしていきたいものです。
さて、やむを得ず寝たきりの状態になってしまったお年寄りに対して、近来、地域住民や行政や歯科医師会の努力で、自宅において健康保険の給付の対象として歯科の治療が受けられるようになっています。
寝たきりのお年寄りは、脳血管障害、高血圧、心臓病など、きわめて重いたくさんの病気を持っていると同時に、認知症などを伴っていることもあります。一方、歯科の治療は様々な医療機器を使用し、複雑で専門的な診療になることで、患者さんには、心理的な負担を与えがちで、歯科医院の中で行う治療とはなかなか同じようにはいかないのが現状です。一般的には、壊れて使えなくなった入れ歯の修理や調整、歯の痛みに対する応急処置、口腔ケア、歯と口の健康指導などがよく行われている内容です。
歯科の往診を依頼する場合は、ご家族が、まず、患者さんの訴えをよく聞いたうえで、主治医の先生とよく相談してください。患者さんのお口の中がどういう状態か把握するためにも、ご家族が日常的によく見てあげ、手入れしてあげることが必要です。
今では、どこでも、この歯科訪問診療の制度を受けられますので、ケアマネージャーやかかりつけの医師、場合によっては役所にお尋ねください。
生協王子歯科にも、お気軽にご相談ください。
4月から診療報酬が改定されます
生協王子歯科は、一般の会社と同じく、3月31日で2021年度という事業年度が終わります。いわば、「第2の大みそか」のようなものです。2021年度は、組合員の皆様、地域の皆様に変わらぬ御支持・御支援をいただきありがとうございました。2022年度も、生協王子歯科職員一同は、地域の皆様の健康を守るために頑張りますので、よろしくお願いいたします。
2022年は4月1日より2年ぶりに診療報酬が改定されます。診療報酬は、「医師の報酬」と誤解されがちですが、そうではなく、保険診療の医療行為を行うために要するすべての費用を賄うために、国がその医療行為ごとの対価を設定しているもので、医療従事者の賃金、医療材料費、医療機器の購入・修理費、光熱費や家賃などの設備運営費、検査費用、入れ歯や冠の製作費など、とにかく全ての費用を診療報酬で賄います。
今回、歯科では、0.29%の引き上げとなりましたが、これではもともと低い診療報酬のため経営基盤の弱い歯科医院がコロナ禍での受診控えや院内感染防止対策のための経費増によりさらに経営困難に陥っている状況を解消するには全く不十分です。我々は、今後も地域の皆様とともに歯科医療をより良いものにするため、診療報酬の改善に頑張ります。
このような今年度の改定ですが、それでも今回、超高齢社会・地域包括ケアの対応に加えて、基本的な技術についての評価が、若干、引き上げられました。医科の病院・診療所や介護施設との連携をさらに推進し、新型コロナウイルス感染症対策を含めた院内感染防止対策が講じられた歯科医療機関で安全・安心の歯科医療を受けることができることとしています。生協王子歯科は、開設当初より院内感染防止対策に努め安全・安心の歯科医療を第一としています。また、食べたり飲み込んだりするお口の機能の低下に歯科として対応する対象年齢がこれまで65歳以上でしたが今回50歳以上に引き下げられました。
診療報酬改定のより良い部分を活用して、地域の皆様の口と歯の健康を守るために引き続き努力いたします。
入れ歯や歯周病でお困りの方は、お気軽にご相談ください。
歯周病について
早いもので今年ももう3月です。
3月は年度の最後の月で卒業、進学、就職、転職など環境が大きくかわる方も多いと思います。暖かくなってきますが新型コロナウイルス感染症流行はまだまだ続いており予断を許さない状況です。
引き続き感染予防対策に努め、健康管理を怠らないようにしましょう。
今月はあらためて成人の8割が感染し世界最大の感染症といわれる歯周病についてお話しさせていただきます。
歯周病とは、歯を支えている歯周組織、すなわち、セメント質、歯肉(歯ぐき)、歯根膜と歯槽骨の病気です。歯周病には、「歯肉炎」と、歯根膜や歯槽骨がやられてしまう「歯周炎」があります。
この病気の直接の原因は歯にたまる細菌のかたまりのプラークです。その細菌群に感染した歯肉が炎症を起こし、赤く腫れた状態になるのが「歯肉炎」です。歯肉炎ならまだ症状は軽く、バイ菌、すなわちプラークをしっかり取り除いてあげれば、炎症はおさまり、再び健康な歯肉を取り戻せます。
ところが、「歯周炎」になってしまうとこれは厄介です。これは、歯肉炎とは違って、歯と歯肉との間でそれらをつなぎとめている機能をもつ繊維である歯根膜までもが、細菌に浸されていくのです。歯と歯肉の間にポケットといわれる隙間ができ、それが歯を磨くと出血する原因になる。この症状が出ると、軽い歯周炎に侵されているのです。
歯周炎はレッドコンプレックスといわれる悪性の細菌がプラーク中にあると進行します。
細菌は隙間を中へ中へと侵食していきどんどん奥まで入り込んでいくのです。そうなると、炎症はもっと悪化し、歯肉は化膿していく・・・。そして、ポケットがどんどん深くなっていきます。ポケットの奥深くに入り込んだ細菌は歯肉、歯根膜だけでなく、歯槽骨にまで影響を及ぼします。細菌が産み出した毒素によってどんどん症状は悪化、骨を溶かしてしまうのです。この時に、無理な力が骨にかかると、その分、骨の溶けていく度合いが増します。ストレスからきている歯ぎしりもその一因です。歯を支えてくれていた骨の組織を失った歯は、やがてグラグラしてきて、そして抜け落ちていってしまいます。
そんな事態を避けるためには、まずは普段からの自覚、歯肉のチェック、そして何といっても毎日の正しいブラッシングが大切です。
また歯周病は、糖尿病との関係が深いと言われています。糖尿病患者の方に対し、歯周病の治療・管理を行うことにより、血糖コントロールが改善したという報告もあります。
歯周病の治療は糖尿病の治療にもつながります。糖尿病の方は、歯科医院で受診する際に、必ず「血糖値が高いと言われている」、「糖尿病の治療を受けている」ということをお伝え下さい。
WHO世界保健総会
早いもので2月4日は立春です。暦の上では春ですが、実際は2月は寒い日々が最も多い月とも言われています。新型コロナのオミクロン株が大流行しており1月22日の東京都内の新規感染者は1万人を超えました。オミクロン株は感染しても軽症者がほとんどであると言われていますが、東京都では救急搬送先が長時間見つからない事例が過去最多になっており、「救急患者の受け入れ態勢が逼迫している」と関係者は危機感を持っています、我々は通常の感染対策を、しっかり遵守しましょう。
2021年5月31日にWHO(世界保健機関)は世界保健総会を開催し、その決議で口腔に関する以下の報告を提起しました。
口腔疾患は非常に蔓延しており、35億人以上が罹患していること、口腔疾患は非感染性疾患と密接に関連しており、かなりの健康的、社会的、経済的負担につながっており、一部の国では顕著な改善が見られるものの、劣悪な口腔衛生による負荷は今も、特に社会の最も脆弱な人々の間で見られます。
永久歯の未治療のう蝕(虫歯)は23億人に発生しており、5億3000万人以上の子どもが未治療の第一生歯(乳歯)のう蝕に苦しんでおり、7億9600万人が歯周病に罹患しており、さらに乳幼児期のう蝕率は、脆弱な状況にある人の中で最も高く、これらの大部分予防可能です。
また、口腔がんは世界で最も多くみられるがんであり、毎年18万人が死亡しており、一部の国では口腔がんが男性のがん関連の最大の死亡原因となっています。
さらに、劣悪な口腔衛生による経済的負荷と、世界の口腔疾患の直接的および間接的コストが5450億米ドルに上り、劣悪な口腔衛生は、糖尿病や循環器疾患同様に、最もコストのかかる健康領域の1つになっています。
また、劣悪な口腔衛生は、痛み、不快感、幸福および生活の質の欠如に加え、学校の常習欠席および職場の常習欠勤につながり、さらに学習不足や生産性低下につながります。
劣悪な口腔衛生が身体的および精神的な生活の質および健康な高齢化に影響を及ぼし、劣悪な口腔衛生は、高齢者、特に介護施設に住む高齢者、および障碍者の肺炎の一般的原因となっています。
劣悪な口腔衛生が全身の健康状態に大きく影響し、循環器疾患、糖尿病、がん、肺炎、早産特に関連性が強くなっています。
口内から始まる壊死性疾患である壊疸性口内炎は、主にアフリカの一部の地域の貧しいコミュニティの子どもの患者に対して90%の致死性を持ち、生涯にわたる障害としばしば社会的排除につながっています。
劣悪な口腔衛生の負荷は国家間および国内の重大な不平等を反映しており、低中所得国に不均衡な影響を及ぼし、主に社会経済的背景の低い人々のほか、年齢や障害のため自らでは口腔衛生を維持できない人など、その他のリスク集団に影響を及ぼしています。
と、報告しています。
口腔疾患は世界的な問題です。
生協王子歯科は、地域から口腔の健康を守るための役割を果たします。
明けましておめでとうございます。
明けましておめでとうございます。
昨年も生協王子歯科は、組合員の皆様、地域の皆様に変わらぬ御支持、御支援を頂き、ありがとうございました。
昨年初頭から続く100年に1度のパンデミックと称されるコロナ禍は、日本ではこの秋以降かなりの落ち着きをみせています。
WHOの技術チームが「2022年はコロナが収束する年になる。信じられないかもしれないが希望は見えている」と述べています。技術チームは「コロナによって命を落とさなくていい方法がある」と付け加えました。具体的な言及はありませんでしたが、ワクチンとブースターショット、治療薬などを念頭に置いたようです。コロナウイルスは「普通の風邪」になるはずであり、深刻な症状を誘発せず、人類は日常的生活に戻るという見方です。1918年のスペイン流感(流行性感冒)と2009年新型インフルエンザも似たパターンだったといいます。
ただ、昨年末より感染力の強い変異株であるオミクロン株の出現・拡大が伝えられており、私たちは気を緩めることなく過剰に不安になることもなく、必要な感染対策を続けていきます。
博報堂生活総合研究所が生活者にきいた「2022年 生活気分」を以下の通り発表しました。
- ●2022年の景況感
今年の景気が「悪かった」ことの反動で、来年の景気予想は「良くなる」が過去最高
- ●2022年にお金をかけたいこと
1位「旅行」、2位「外食」、3位「貯金」。いずれも「今年お金をかけた」を上回る。
- ●始めたいことは「運動・体操・筋トレ」、やめたいことは「無理しての人付き合い」
全体として、コロナ禍での自粛生活の反動が見られます。ただ、やめたいことの「無理しての人付き合い」は、人間関係構築が難しくなっていると言われている現代社会の反映でしょうか。
人間関係は、近すぎず遠すぎず自然体でいきたいものですね。
今年もよろしくお願いいたします。
年末年始に歯が痛くなったら
2021年も、残すところわずか1ヶ月になりました。今年もコロナ禍が続く中、組合員、地域の皆様に生協王子歯科をご支援、ご支持いただき、ありがとうございました。生協王子歯科職員一同、厚く御礼申し上げます。
年末はスケジュールに追い回され、身体も口の中も、最悪のコンディションに置かれます。それが、お正月になって緊張感やストレスなどから解放され、今まで何ともなかった歯や歯肉がじわじわと浮いてきてしだいに咬めなくなり、ついには痛んだり腫れたりして、せっかくの楽しいお正月が台無しになってしまうことがよくあります。
歯科医療情報サイトの『EPARK歯科』には、歯が痛い時のすぐできる対処法として以下のように紹介されています。
- @痛みの緩和に役立つ成分が含まれているか。
具体的には、以下の成分が歯の痛みに有効です。
・イブプロフェン
・ロキソプロフェン
・アセトアミノフェン - A薬の効能に「歯痛」「抜歯後の疼痛(痛み)」と明記されているか。
鎮痛剤には様々な種類があります。抑えたい症状に対し、効果があるかを確認してから購入しましょう。
- B効き始めるまでの時間が短いか。
歯の痛みはできればすぐに抑えたいと思うものです。液体カプセルタイプの薬は溶けやすく、薬の効能が発揮させるまで比較的(少なくとも錠剤タイプと比べて)短い時間で済みます。錠剤タイプの薬にもメリットはあり、多少時間がかかるものの吸収されれば優れた効果を発揮するものがあります。その他、歯痛の緩和を特徴とする鎮痛剤もあります。薬局やドラッグストアで薬剤師さん、登録販売者さんに相談し、購入することをお勧めします。
・正露丸
正露丸を虫歯の穴に詰めることで痛みが緩和させることが、製薬会社HPで紹介されています。
T.市販の痛み止めを服用する。
歯の痛みに対し市販薬を選ぶ時は、下記のポイントをチェックするとよいでしょう。
U.冷やす
虫歯による痛みの場合、冷やしたタオルを患部に近い頬に当てることで、痛みを和らげることが出来ます。おでこに貼る冷却シートを頬に貼ったり、氷を口に含んだりするのも効果的です。冷やしすぎると逆効果になるため、長時間氷や冷水を使うのは避けてください。また、軽度の虫歯や歯周病は、冷やすことで痛みが増すことがあります。痛んだり腫れたりして熱を持っている場合に冷やすなど、様子を見ながら行ってください。
V.口内を清潔にする
食後に歯の痛みを感じる場合は、柔らかい歯ブラシや、デンタルフロス、うがい薬などを使用し、口内を清潔にしてください。食べカスが原因で引き起こされている歯痛は、取り除くことで軽減できます。口内を掃除する際、痛みを感じる歯を刺激しないように注意してください。
もし年末年始に歯が痛くなったら、北歯科医師会の休日歯科診療所(電話番号:3900−5009)にご連絡下さい。受付時間は午前9時から午後5時までです。
歯科の休日診療は、入れ歯が壊れたり、転んで歯が折れたり、急激に歯が痛くなった時などに治療してもらえます。その場合、休日のため応急処置に止めることが多いので注意が必要です。たとえ応急処置で痛みが消えても、休みが明けてからきちんと歯科医院に通院して治療してもらいましょう。
それでは来年が皆様にとって良い年であることを、お祈りいたします。
寒くなってきましたね
早いもので、11月7日(日)はもう立冬です。
立冬と聞くと「もう冬が来たのかなあ。」と思ってしまいますが、11月のはじめはまだ紅葉も十分ではないので冬にしては早い気がします。
立冬というのは、昔、中国北部の内陸地帯で作られた二十四節気という古い暦に出てくる季節の区分の一つです。これは精密にできた暦ですがこの地域は日本より寒冷な地域であるため季節感が異なるからです。
また、11月は霜月とも呼ばれます。
11月は霜が降りるにはまだ早い季節ですが、もともとは陰暦での11月の呼び方だったものを現在の陽暦の11月にもそのまま持ってきたので、これも季節感が異なります。
陰暦の11月は陽暦では11月下旬から翌年1月上旬頃に相当するからです。
ただ今年は10月の下旬から11月、12月並みの寒さが到来しています。現在落ち着いている新型コロナウイルス感染症も冬に向かうにつれ再拡大する懸念もあり、さらにインフルエンザ流行の季節にもなります。皆さん、十分ご自愛ください。
寒くはなってきますが、時には星空を見上げるのも心を落ち着かせてくれます。
国立天文台天文情報センターによれば、11月は、月に関する現象が2つ起こります。
まずは8日の昼間に、月が金星を隠す金星食が一部の地域を除いて起こります。白昼のため、現象自体の観察には双眼鏡か望遠鏡が必要ですが、夕方には現象直後の月と金星が寄り添って見えることでしょう。
また19日には全国で部分月食が起こります。
夕方の空では、西から南にかけて金星、土星、木星といった惑星が明るく輝いています。土星よりも遠い惑星、天王星が5日に衝となり、見ごろを迎えます。
別の季節では暗くて見えづらい惑星が見えるかもしれないと思うと少し楽しみです。
10月8日は入れ歯感謝デーです!
今年も7月から9月にかけて暑い日が多かったですが、ようやくめっきり秋めいてまいりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
10月は、神無月とも言い、島根県の出雲大社に全国の神が集まって1年のことを話し合うため、出雲以外の地域ではその地域を守る神がいなくなるので、充分な注意が必要であると言われています。
これは俗説のひとつと言われていますが年末まで3カ月となり、年末に向けてやるべきことを整理し、しっかりと準備しましょう。
10月8日は入れ歯感謝デーです。
この日は数字の「1,0,8」を語呂合わせで「入れ歯」と読んで入れ歯感謝デーとしたもので「入れ歯や歯に被せる冠などを作る歯科技工技術に感謝する」という意味を込めて入れ歯や歯に被せる冠を作る専門職である歯科技工士の団体である公益社団法人・日本歯科技工士会が2005年に制定しました。
この記念日は一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されています。
虫歯や歯周病で歯が形を失ったり、歯が抜けてしまったりして食べ物を咬むことに不具合が生じた場合に歯科医師の診察をもとに入れ歯や歯に被せる冠を作成するのが歯科技工士という専門職の仕事です。
この歯科技工という仕事は高度の専門知識と精緻な技術を必要とし、この技術で作成された入れ歯や歯に被せる冠を用いて虫歯や歯周病で咬むことが困難になった方の食生活を回復し、暮らしの改善から心の健康も豊かにします。
10月8日は、この歯科技工という技術がいかに大切なものであるかを考える機会にしていただけばと思います。
入れ歯や歯に被せる冠のことで何かあれば生協王子歯科でお気軽にご相談ください。
生協王子歯科では常勤の歯科技工士が歯科医師とともにご相談だけでなく現在使用されている入れ歯が壊れた場合の修理にも対応しております。
−9月とはいえ、まだまだ暑い日が続いております。−
皆様、いかがお過ごしでしょうか。
新型コロナウイルス感染症がますます猛威を振るっております。収束はまったく見えませんが、自分と自分の周りの人たちを守るためにできることはしっかりやっていきましょう。
9月1日は、防災の日です。この日が防災の日となったのは、1923年9月1日(98年前)に関東大震災が起きたので、この震災を忘れず災害に備えようということからです。また、9月1日は立春から数えて210日目の日で、この時期は台風が多く災害も発生しやすいことも防災の日となった理由とされています。関東大震災は東京都及び神奈川県を中心に関東地方に大きな被害をもたらした大地震で、死者行方不明者数は推定10万5千人、東京都内の家屋の約6割が主に火災が原因で失われたといわれています。9月1日から1週間は防災週間とされ防災について様々な関連行事が行われ、防災についての再確認を行うこととされています。
小学館の情報サイトでは、防災週間に以下のことを確認することが提起されています。
- @防災マップで地域の避難場所を確認する
国土交通省や各市町村で防災マップやハザードマップなどが作られています。それらで、自分が住んでいる地域でどんな災害が予測されるかを把握し、自宅から近い避難場所がどこにあるのかを確認しましょう。
- A防災グッズを確認する
携帯ラジオや非常食、救急品などを詰めたリュックは、「防災の日」に、中身を確認するようにしましょう。
- B家具の転倒防止対策を行う
- C食料や飲料の備蓄を確認する
万が一の場合に備えて、非常食や飲料水を1週間分ほど準備しておきたいものです。
- D家族同士の連絡手段を確認する
災害時は電話がつながりにくくなることが想定されていますが、携帯電話や固定電話から利用できるNTT災害伝言ダイヤル「171」で安否確認を行うこともできます。
生協王子歯科では、毎年、王子消防署の消防士の方にお越しいただき、全職員参加の防災訓練を実施しております。
−猛暑を乗り切りましょう!−
早いもので8月7日(土)はもう立秋ですが、7月20日ころからの猛暑は9月上旬ごろまで続くかもしれません。命にかかわる暑さに充分気をつけていきましょう。
環境省と気象庁は危険な暑さが予想される場合には、「熱中症警戒アラート」を発表します。気温や湿度などから算出した「暑さ指数(WBGT)」の予想値が「33以上」になる場合に、両省庁のウエブサイトで発表されます。また、天気予報とおなじように気象庁から報道機関や地方自治体に伝えられ、テレビやラジオ、防災無線などからアラート情報を受け取ることが出来ます。どうぞ、熱中症の予防にお役立てください。
冷たくて口あたりのよいジュース・アイスクリームなどについつい手が伸びてしまいますが、食べすぎると胃腸を疲れさせ、食欲を減らし「夏ばて」の原因になります。暑さに負けないためには、栄養のバランスを考えて脂肪やたんぱく質、ミネラル、ビタミンなどの補給に気を付けて、偏食しないことが大切です。みょうがやしょうがなどの薬味をプラスすると食欲が刺激されます。水分の多いトマトやなすなどの旬の夏野菜は値段も手ごろで栄養もぎっしり詰まっています。豚肉や納豆、梅干し、小松菜、ニラ、にんにくなど、夏ばて予防に効果的な食材をとることも良いと思います。
睡眠も大切です。快眠セラピストの三橋美穂さんが、熱帯夜でも快眠できる5つのポイントを提唱しています。以下の通りです。
- @室温は28度以下
熱帯夜では28度以下でエアコンをつけっぱなしにしましょう。タイマーにすると、切れた時に暑くて目が覚め睡眠を妨げます。
- Aパジャマは長袖・長ズボン
寝冷えしないため、パジャマは長袖・長ズボンにして冷気が直接体に当たらないようにしましょう。
- B寝る30分前にはきれいな空気を
寝る30分前に窓を開けて、換気をすることで深い眠りへと導いてくれます。
- C頭を冷やす
スーパーなどでもらう小さな保冷剤を3つ程度冷やしハンカチなどでくるみ、枕の中央に置きましょう。脳の温度が下がり寝つきがよくなります。
- D就寝の1〜2時間前に入浴を
体の中心部の体温「深部体温」が下がると眠くなるので、就寝の1〜2時間前に入浴で体温を上げでおくと、眠りにつくタイミングで体温が下がり寝つきがよくなります。
−歯科とレントゲン−
今年も半分が過ぎ、もう7月となります。暑さが本格化し熱中症に充分、備えるべき季節となりました。新型コロナウイルス感染症は新たな感染拡大も懸念されており、暑気払いしたくなる時期ですがまだまだ警戒が必要です。
先日、当歯科の歯科医師、歯科衛生士、歯科助手全員が法でさだめられた医療放射線安全研修をオンラインにて受講しました。
今月は、「歯科とレントゲン」についてお話ししたいと思います。
歯周病や虫歯の進行程度、顎の骨の状態、歯の根の神経の治療、腫瘍や骨折、顎・顔面の発育診断など、歯科疾患の診断で、レントゲンは必要欠くべからざるものです。歯科では、口の中にフィルムを入れて一度で数本の歯を撮影するデンタル・レントゲンと、一度で口の中の総ての歯と顎、関節、骨などが撮影できるパノラマ・レントゲンが主流になっています。歯科医師はレントゲン使用に際し、充分にして必要最小限にとどめるだけでなく、X線装置の整備、感度の高いフィルムや鉛入りのエプロンの使用など、最小限の線量で最大限の診断価値を得ようと努力しています。
レントゲンは利用価値が高い反面、弊害を含んでいることも確かです。通常、歯科で用いられるレントゲンの線量はごく微量で、150万回撮影すると遺伝的な影響が起こる可能性があるとされていますが、実質的には人体に障害を起こすことはほとんどないと言われています。しかし、妊娠中の女性や、他の病気や怪我、健診などのレントゲンで線量が積み重なることも考えられますの、必ず、歯科医にその旨を伝えてください。
超音波診断やMRIの発展があり、放射線に被ばくしない検査が発達する現在ですが、骨の中を見るのに現在、欠かすことはできません。将来はわかりませんが現在は、手軽に安く、また比較的安全に検査ができるレントゲン検査に歯科医師は頼らざるを得ません。
当歯科では放射線量を二分の一程度に減らせるデジタルレントゲンを使用しています。デジタルレントゲンは撮影時間も短くパソコンで大きく画像を見ていただくことができ歯科疾患の状態をご説明するのにとても役立っております。